ありがた迷惑

長崎にあるハウステンボスというテーマパークに仕事に行った。
ハウステンボスの担当者が私たちの宿泊先に施設内にある高級ホテルの一室を手配してくれた。
私に同行したアシスタントの若い男性とフロントでチェックインするとき、受付担当の女性が何故かそわそわした態度で「ご用意させていただいた部屋は最高級のお部屋ですので、どうぞお楽しみください。鍵は一つでよろしいでしょうか」と尋ねてきた。

私はアシスタントの男性と顔を見合わせ・・・俺たち勘違いされていると言葉なくして心通った。思わず2個くださいと大きめの口調で言い返してしまった。

その後、用意された客室に入って初めて受付の女性が何故そわそわしていたか分かった。
その部屋の壁紙すべてが赤バラの花柄模様で構成されており、新婚さんには持って来いのインテリアなのだろうが、男二人がこの空間にいるには、違和感がありすぎ心落ち着かない。明日の朝まで彼とこの空間を共にすることを考えると苦しみ以外の何ものでもない。

時に花は狂気になりえることを思い知らされた。

しかし苦痛に耐えた私たちに、まるでご褒美のような晴れやかな退室の朝がやってきた。
その後、最高級が最低になる体験は、私にとって大切な話ネタになっている。

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