みんな同じ人間

健康診断に出向いた。受付開始は朝の8時だが、少し出遅れると多くの人がやってくるこの病院では、受診開始時間がかなり遅れてしまう。だから私は毎年受付開始30分前には受診票を受付ボックスに投函し、待合室で座り名前を呼ばれるのを待っている。

せっかちにも私と同じ考えで早めに来ている無数の人々がいる。あの人は大手企業の役員かな、この人は設備関係の職人さんだろう、彼は大学生に違いない、そしてその横のお洒落な服装の男性はデザイン関係の仕事だな、彼女は総務関係のOLぽい、などなど服装身なりで人の職業を想像し待合時間をつぶしていた。「1番から20番の方、更衣室に行って受診服に着替えてください」と高らかな声が響いた。11番だった私は第一グループに入れた喜びを感じながら更衣室へと向かった。

ウグイス色の大きめのさえない甚平のような受診服をまとい、指定された診療室前の長椅子に腰かけ、向かいの長椅子に座っている先ほど待合室で見かけた人々に目をやった。

あれ、先ほどとは打って変わり、みんな職業も序列もないただの人に見える。

人は見かけで判断してはいけないんだという良い学びの光景に、この場にいる目的以外のほのぼのとした空気を感じた。

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