味覚とは実に面白い。
育った場所や環境で人それぞれ味付けの好みが異なる。
日本の場合、北に行くほど塩っ辛く、南に行くほど甘口になる。
私の妻は鹿児島出身で、新婚当時作ってくれた味噌汁の味付けが、甘すぎて正直まずいと感じていた。「美味しい~」と聞かれれば、新婚だけに「美味いよ~」と答えていた嘘つきホヤホヤ時代を思い出す。
しかしよく考えてみると、
彼女が育った環境においては、当たり前で美味しい味なのだから、「まずい」という表現は大変失礼なわけで、「この味は僕にはわからない」と言う方が紳士的なのかもしれない。
年月は流れ、現在我が家の味噌汁の味は甘くもなく、それほど辛くもない中和された味になっている。長年住む南北の真ん中にある東京という場所が今の我が家の味付けになり、彼女も半分東京に染まってしまったのだろうか。