生かされた天職

小さい頃からわが子のように可愛がってもらった親戚のおじさんが、満97歳で亡くなった。

残された兄弟や従弟たちも、老衰で大往生と深い悲しみや悔いもなく、別れの寂しさを感じながらも清々しい表情で家族葬を迎えた。

生前は、町医者として多くの人々に慕われ、常に明るく前向きで、俳句や水泳、美食など好奇心旺盛な多趣味な叔父を「あんな生き方が出来たらいいな」と尊敬もしていた。

この世で最後に私が叔父にできることは、棺の中で眠っている叔父の周りに、生前好きだった花々を美しく配置しデザインする「棺のフラワーデザイン」だとふと思い、親族が棺に手向けた花々を美しく整えなおしてしまった。

ちょっと出しゃばりすぎた身勝手な行動かなと思ったが、棺の周りから「景太、ブラボー、美しい、さすがフラワーアーティスト」と歓声が上がり、花にかかわってきた人生冥利に尽きる叔父への恩返しができた喜びに包まれた。

「おじさん、他界でも先だったおやじ、叔母によろしく」おじさんとの数々の思い出は私の宝物です。

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