日本において先人は四季折々、暮らしのしつらえを変えてきた。
夏に風鈴やすだれをたらし、
うちわ片手に涼やかな気持ちになり、
秋にススキや紅葉を室内に活け、
天高い空に浮かぶ月や星を愛で、
冬にこたつを囲み鍋料理で暖を取り、
春に桜の屏風や掛け軸を愛で山菜で食を彩るなど、
各々の季節を大切に快適に過ごす知恵を凝らしてきた。
現代生活においては文明が進化し、自然とのふれあいや、室内の変化をもたらせなくとも、四季を意識せず快適に過ごせる環境が整ってしまっているだけに、五感で感じる四季の風情が失われている様な気がする。
私はこの実態に本来持っているであろう日本人の四季に対する美意識や環境と一体化し生活を楽しむ知恵の活用や柔軟性が低下する事にいちまつの不安と寂しさを感じる。
ひと昔前のような四季折々のしつらえの変化は物理的に難しいが、現代の暮らしに対応し息づく新たな四季のしつらえを提案していきたい。