毎年いけばなコンクールの審査をしている。フラワーデザインの分野の私がいけばなの審査に携わらせていただけることは大変恐れ多きことではあるが、高い敷居を越えて花を愛するものとして認めてくださったことに感謝をしつつ、日本の花未来に明るい希望を感じる。昨年のコンクールの審査講評で、あるいけばな界の先生が「いけばなは引く文化。フラワーデザインは足す文化。」とおっしゃった。だが、私にはどうしてもそう思えない。
花の美しさや魅力を抽出するためにはまず引いてみる。そして、その作品では使えなかった削ぎ落とされた花のパーツをドライにしてみたり、メカニックスのカバーリングにしてみたりとーーー決してすべてを無駄にすることなく、足したり、割ったり、掛けたりして再利用することが、いけばなとフラワーデザインにおいて、花の命を大切に扱う今日の姿だと考えているのだが……