日と月。

日も暮れた上海に到着した。そこにはどうだとばかりにまぶしいほどの照明がきらめく高層ビルが立ち並んでいた。かたや一歩ビル群を離れると、なんとも懐かしい黄昏れ色の優しい光に染まった、良き昭和の日本を感じさせる街並みが点在している。二つの大きく異なった環境は、まさに新旧の狭間にある時代を思わせ、どちらかといえば、私には後者の方が心地よく感じられる。

”明”という漢字は、日と月で成り立っている。日中は太陽の光を、そして夜は月の光をとーーーー先人は考えたのだろう。24時間眠らぬ街は多くの人々の生活を支えていることも事実ではあるが、人以外の多くの生き物にとっては、いかがなものであろうか。

本来、文明の進歩とは行きとし生けるものが安心して過ごせる地球づくりと思いたい。帰国後、煌々と輝く駅前の薬局に身を置く観葉植物を見て、なお一層その気持ちを強くした。

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