住宅地にドカンと広がる空き地で草野球をしている少年を見かけた。そこには立ち入り禁止の囲いもない、なんとも懐かしい光景だ。野草はそこそこ茂り、少なくとも数ヶ月はこの状態であったと思われる。
私は、この土地のずさんな管理状態に思いを馳せていた。しかしその瞬間、時代の流れの中で私自身が侵されてしまったことにハッと気づかされた。
小さい頃、あちこちに点在していた”野っはら、原っぱ”に、人様の土地などという概念はなく、自分たちの自由な遊び場と解釈していた。ところが今は、空き地ができると高い塀で囲われ、あっという間に家が建つ。いたしかたない現状ではあるが、人様の土地で多くを学ばせてもらった私にとって、この土地のずさんな管理がすばらしいものに感じられるのだった。