渋滞中の出来事。

渋滞に巻き込まれた車の運転は何かとイラついてしまう。何時までにどこどこへいかなくてはならない目的があると、なおさらそうだ。

この間、時間を無駄にすることなく冷静に時を過ごすことができればよいなと、数ヶ月前からあることを実行している。それは、車の中から自分の視界に入る植物を車が40キロ以上で走行できるまでに、20種探すことだ。これがなかなか難しいが、おもしろいのだ。つい目配りに集中しすぎて、後ろの車に意地悪いクラクションを鳴らされる。

みんなイライラしているのはわかるが、鳴らし方にも気品と思いやりがあるものだとーーー集中していた気持ちが乱れる。そんなとき、脇道から一台の車が私の前に割り込んできた。心落ち着かせつつ譲った後、”ありがとう”といわんばかりの長い点滅シグナルが私の心にささやかな安らぎをもたらす。「あれ…いくつまで植物の種類を数えていたのだろう?」ーーーまだまだ未熟な己の精神性に再度イラつく。

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