毎年野菜を育てている。
日頃、切り花を扱うことが多い私にとって、食べるという目標に向かって愛情をかけながら命を育むプロセスには、また違った楽しさがある。毎日定時に出勤帰宅できないだけに、うまい野菜を作るには家族の力が欠かせない。毎朝晩の水やり、追肥、剪定、ツルを支柱にくくりつける作業。まさに野菜がもたらす家族の深い絆作りなのだ。
トマト・キュウリ・ナス・ニラ・シシトウ・ネギーーーどんどん大きく育っていく。収穫は、食べごろを迎えた野菜に気がついた者が採ってよいことになっている。ただし家族全員で食するのが基本。形は悪いが、どれを食べても自ら育てただけに格別な味がする。
野菜から受けた情操教育は将来、私たち一人ひとりにとって良き思い出以上のかけがえのない大切な、生きる味となるに違いない。