プロセスがもたらす結果。

お正月イベントで作品に使用するススキの採集をしている。当初は2万本ぐらいで……と考えていたが、実際に採集したススキを並べてみると、5万本以上は必要だとわかった。時間を見計らい、長野、千葉、町田など地元の方々のご好意と協力により足繁く採集に通う日々が続いている。

大人一人が1日、使えそうなススキを選別しながら刈り込んで、いいところ2千本ーーー気が焦る本数である。そんなある日、花市場の帰りに、私の目に上質なススキの群生地が飛び込んできた。思わず心の中でここだ!と叫んでしまった。早々にその場所に向かったところ、東京港で働く日雇い労働者の人々が集まるプレハブ小屋が何棟もススキに囲まれて建っていた。手ぶらはまずいと思い、近くで饅頭を買い、「すみません、ここのススキを刈らせていただけませんか?」と親方らしき人に頭を下げたところ、「それは受け取れない。ここは俺たちの土地じゃないからな。」でも、誰かが育てているわけじゃないから、好きなだけ刈っていけよ。何本必要なの?」恐る恐る、「2万本くらいですかね……」すると、オジサンたちは目を点にして、「それは大変だ!おいみんな、手伝ってやれ!!」。この日の採集は思いがけぬ本数となった。

ススキの大作を手がけることで、思いもよらぬ心温かい人々と出会えた喜びで満たされている。助けてくれた皆さんに恩返しできるように、一本一本のススキに感謝を込め、2009年の幕開けにふさわしい感動してもらえる作品を作らなくてはという気持ちでいっぱいだ。

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