花のちから。

知り合いが入院したという知らせを受けた。
日頃病気にかかるような性格と体つきではなかったので少々動揺したが、見舞いに行って隣の人と楽しそうに会話をしている彼の姿を見て、安心した。
どう考えても花には縁が内容な男だったので、私はサイドテーブルに大急ぎで制作した見舞い花のフルーツバスケットアレンジメントをおいた。
彼はまだ熱があるにもかかわらず、みかんの皮をすばやく剥き、あっという間に2個を口の中に放り込んだ。よほど喉が乾いていたらしい。その後、自慢げに隣へ果物をお裾分けしていた。まさしくこの男、”花よりだんご”である。

数日後退院したという連絡が入った。
「ありがとう!!果物の周りの花の香りが懐かしかった。隣の人も北海道出身で花について長時間、語り合うことができて退屈しのぎになったよ。」意外な彼の言葉に新たな一面を発見、人は見かけによらないものだと己を責めた。
その後も彼はお隣さんを連絡を取り合っているらしい。
きっと、花と果物が人の縁を深めたのだと、自分の仕事に更なる誇りを感じた。

TOP