根っ子と大地を失い切り花となった花にとっては、自らすっくと立つことが出来なくなる。
だから人間は切り花を活けるための花瓶や水盤、立たせるための剣山などの道具を生み出したのであろう。
すなわち花瓶水盤や道具は、根っ子や大地に変りうる存在なのだ。
自然界に咲く花の環境や生息場所は多種多様なのに、花瓶水盤の形にはあまり大きな変化はなくバリエーションも少ないように感じる。果たして切り花は、既存の花瓶水盤に満足しているのであろうか。
生きとし生けるものとして、切り花にも根っ子や大地に変りうるバリエーションに富んだ花器を与えてあげたい。
そして花器に活けられた花と共に生活する私たちが、時に雨を降らせ(水をやる)、風を呼び込み(空気の入れ替えをする)、太陽をあたえ(花に適した日当たり場所を考える)虫や動物になる(食物連鎖に必要な行為や行動)ことで切り花はより幸せを感じるに違いない。