唐突な発想

私は靴が大好きだ。

 

自分の人生とともにいろいろな時を歩んできたパートナーだからだ。学生時代に好んで履いていた穴だらけのスニーカーさえ、いまだに捨てられずたまに眺めては当時の思い出にひたる。

過去、その靴に花を活け玄関に飾っていた事がある。

友達が訪ねてきた時、「なんでこんな汚い靴に花を活けているんだよ、花は花瓶に生けるものでしょ」と言われ、とっさに返した言葉が「この花は咲いた場所から生涯移動できず、その場所で命を閉じる訳で、ひょっとしたらいろいろな場所へ僕らと同様、旅をしたいと思ってるかもしれないだろ、だから靴を履かせたんだよ」と答えた。

友達は
「お前そんなにロマンチックな心持っていたっけ、でも優しい気持ちになれるな、俺もやってみようかな」この一言にひらめいた。
ありえない光景を物語ることで、その文化が必然性を帯び、飛び火し、いつしか当たり前の文化として根付いているかもしれない可能性を得ることを。

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